【タイ語翻訳の落とし穴】翻訳者が語る!注意するべき7つのこと

タイ, タイ語

「微笑みの国」と呼ばれるタイ王国。公用語である「タイ語」の特徴と、タイ語翻訳をする際の注意点、タイ人との接し方など、ビジネスにおいて役立つ情報をお伝えします。

アットグローバルタイ語翻訳チームが監修

本記事は翻訳会社の株式会社アットグローバルタイ語翻訳チームの監修の元、アットメディア編集部が記事を作成しています。翻訳者の意見を取り組んだ記事になっております

タイ語翻訳を正確にするために抑えたい3つの特徴

タイ語翻訳をする上で抑えておきたい3つのポイントがあります。それらを紹介していきます。

1. タイ語の基本構成:「子音字」「母音符号」「声調記号」のセットで一つの単語となる

タイ語の文字はインド系の表音文字を用いています。「子音字」が42文字、「母音符号」が41個、「声調記号」が3つあります。子音字の上下左右に母音を表す母音符号を付け、声調記号を子音字の上に付けます。これらが「音節」となり、単独または複数の「音節」の組み合わせることによって、一つの「単語」が構成されています。タイ語の声調パターンは5種類あります。

例えば、「頭子音+母音+末子音」+声調記号、このように文字を組み合わせたとします。「子音+母音+声調記号」が一つの「音節」となり、これらの「音節」(単独または複数)を組み合わせて一つの「単語」を構成します

日本人でもよく知っている「トムヤムクン」はどのように文字の組み合わせになっているのでしょうか。「トムヤムクン」はタイ語で「ต้ม/ยำ/กุ้ง」と表し、これらは 「tom/yam/kung」という3つの「音節」によって構成されています。もし、「トムヤムクン」の最後の1つの音節「กุ้ง(kung)」(頭子音「k」+母音「u」+末子音「ng」+声調記号)だけでは、「海老」という意味の単語になります。しかし、例外もあります。

例えば、「末子音」と「声調記号」が付いていない「音節」を持つ単語もあります。「ムエタイ」(キックボクシング)は「มวย/ไทย」と表します。この単語は「muai」と「thai」という2つの「音節」(頭子音「m」+母音「uai」と、頭子音「th」+母音「ai」)で成り立っており、どちらの音節にも「声調記号」はありません。

2. 単語の途中に改行を入れると意味が通じない

タイ語は「単語」の途中に改行を入れてしまうと単語として成り立ちません。例えば「お湯」は「น้ำร้อน」で、「 น้ำ(水)」+「ร้อน(熱い)」という2つの単語で表します。もしこの単語の途中に改行をいれると、「水」と「熱い」という 2つの別個の単語に分かれてしまいますので、本来の「お湯」の意味を持たなくなります。「真水」を表す「น้ำเปล่า」も同様に、「 น้ำ (水)」+「เปล่า (何もない)」という2つの単語で成り立っていますので、単語の途中で改行すると意味が通じません。

さらに「เปล่า(plao)」(いや、別に)という単語は、頭子音「pl」+母音「ao」で「音節」は1つなのですが、「pl」に関しては「二重子音」(子音が2つ)という特殊な構造になっています。そのため、それぞれの子音を頭子音とした「เป(pe)」(頭子音「p」+母音「e」)と「ล่า(laa)」(頭子音「l」+母音「aa」)の2つの「音節」に分けて発音することが出来ますが、そもそもこのような単語は存在しないので、単語の間に改行を入れても意味がありません。

「維持する / 治療する」を意味する 「raksaa」は、1つの単語の中に「รัก (rak)」(頭子音「r」+母音「a」+末子音「k」)と「ษา (saa)」(頭子音「s」+母音「aa」)の2つの「音節」が含まれています。この2つの「音節」の間に改行をいれてしまうと「รัก(愛する)」、と「ษา(意味のない音だけの文字)」となってしまい、全く意味が通じません。

改行をする際には、「記号」にも注意が必要となります。「ๆ」は、「(直前の単語を)繰り返す」という意味の記号で、日本語の「人々」の「々」のような役割があります。この記号「ๆ」の前に改行を入れてしまうと、読みづらい文章になってしまいます。例としては、「จริงๆ( 本当に)」、「สำคัญๆ(重要な、大切な)」などがあります。

また、「省略」の意味を持つ「ฯ」は(日本語で全く同じ意味を持つ語ではないのですが)、「株式会社」を(株)と表すことがあるのと同様、タイ語でも単語を省略した表現を用います。その省略した単語の間に改行を入れて直前の単語と切り離してしまうと、意味が不明瞭になってしまいます。省略する単語の例としては、「กรุงเทพฯ(クルンテープ)」(「バンコク」のこと)。バンコクの正式名称はとても長いので、一般的に省略記号を用いて表記します。

3. タイ語の文字数・単語数の機械による正確なカウントは難しい

最近は「Word」等の文字数カウント機能が向上しているので、ある程度正確に文字数・単語数が計測できるようになっていますが、まだまだ信頼性には欠ける状況といえます。タイ語は「子音」「母音」の他に「声調記号」も文字数にカウントされるため、見た目の文字数との誤差が大きく出てしまいます。また、文章に「スペース」が入らないので、単語の区切りの判別が難しく正確な単語数を計測できないという問題があります。例えば、

ผมจะไปเที่ยวญี่ปุ่นเพื่อขึ้นภูเขาฟูจิ (富士山に登るために日本へ旅行に行く)

「Word」の文字カウント機能では「単語数」10、「文字数」37です。文字数の内訳は、「子音」15、「母音」17、「声調記号」5です。ですが、正確に単語を区切るとこのような結果になります。

ผม/ จะ /ไป /เที่ยว /ญี่ปุ่น /เพื่อ /ขึ้น /ภูเขา /ฟูจิ

「単語数」の正解は9です。「Word」の文字カウント機能では10となっていますが、これは恐らく「ภูเขา(山)」という単語を、「ภู(丘 / 山)」と「เขา(彼 / 彼女)」の2つの単語であると認識してしまったのだと考えられます。

長文を利用して、Wordの文字カウント機能と下記ホームページでの文字カウント機能を比べてみたところ、文字数(スペース込)、文字数(スペースなし)は両方とも一致しました。(単語数をカウントする機能がないため、単語数の比較はできませんでした)
http://www1.odn.ne.jp/megukuma/count.htm

タイ語の単語数のカウントに関しては、ベージ単位(A4用紙サイズ)の文章で、およそ800単語といったところでしょう。

日本語との違い

1. タイ語には5種類の「声調」がある

タイ語には「声調」(音の高低)が5種類もあります。同じ単語でも声調が異なると意味も変わります。

1声 平声(中平調)高い真っ直ぐな音
2声 低声(低平調)低い真っ直ぐな音
3声 上声(下降調)高いところから落ちる音
4声 高声(高平調)高いところからさらに高くなる音
5声 下声(上昇調)低いところから上がっていく音

2. 「子音」の高さと「声調符号」の組み合わせ、「音節」の種類、「母音」の長さで「声調」が確定する

「音節」には「促音節」と「平音節」の二種類があります。「促音節」は、「短母音(a,i,u,e,oなど)」または「末子音(t,k,p)」で終わります。「平音節」は、「長母音(aa,ii,uu,ee,ooなど)」や「複合母音(ai,ua,eoなど)」または「末子音(n,m,ng)」で終わります。

例1:
「ยาย(yaai)」→ 1声「お婆ちゃん」 
「ย้าย(yaai)」→ 4声「引っ越す」(単語は同じでも声調記号によって声調が変わる)
「ยาก(yaak)」→ 3声「難しい」
 (音節が〈aai〉平音節から〈k〉促音節に変化するので声調が変わる)
例2:
「รัก(rak)」→ 4声「愛する」
「ราก(raak)」→ 3声「根」
 (頭子音・末子音は同じだが、短母音だと4声、長母音だと3声に変わる)
例3:
「คอ(khoo)」→ 1声「首」
「ขอ(khoo)」→ 5声「お願いする」
 (発音表記は同じでも、頭子音字の低子音「ค」、高子音「ข」の違いで声調が変わる)

3. タイ語は一つ一つの文字が独立していないため、「声調記号」を間違えると別の単語に変わってしまう

声調記号の違いだけで意味が異なる単語の例を挙げますと、

「มา」(来る)、「ม้า」(馬)
「ใช้」(使う)、「ใช่」(はい〈肯定〉/そうです)
「ไม่」(いいえ〈否定〉)、「ไม้」(木)

などがあります。

日本語からタイ語は自動翻訳できるのか?

英語からタイ語の自動翻訳はそれなりのレベルで翻訳可能なのですが、日本語からタイ語に翻訳する場合は、まだまだ発展途上にあり翻訳の品質も非常に低いため、ビジネスにおいて自動翻訳を利用することは難しい状況といえます。単語の構成が複雑なので、Trados等のCATツールにも向かないのがタイ語の翻訳業界での共通認識です。自動翻訳は品質が日々進歩しているとはいえ、長文になると語句の関連が正確に判断できず、誤訳が発生してしまいます。

また、日本語は独特の「外来語」を使用するため、日本語の意味と異なった翻訳に変わってしまうことがあります。例えば「ラグビーの試合でトライする」を訳すと「ラグビー」は正しく訳されるのですが、ラグビーの際の「トライ」を「得点する」ではなく、「挑戦する、頑張る」という意味に訳してしまうことがあります。このように日本語の「外来語」を使用している文章は誤訳が発生しやすいのが現状です。

タイ語翻訳をする、依頼する際に気をつけておくべきこと

クライアントには上記のタイ語の特徴をきちんとお伝えし、翻訳作業以外にレイアウト調整や版下チェックを行うかどうかの確認が必要です。タイ語の特徴からTrados等のツールには不向きであること、対応しているリソースがないことなども、きちんと説明する必要があります。DTP作業を外注する際にも、必ずネイティブチェックが必要です。「声調記号」が「フォント」の違いによって、重なったり離れたり消えてしまったりすることがあるからです。ですから、事前にDTP作業者と使用する「フォント」の確認と、クライアントの承認を得ておくことが必要です。

WordやExcelなどの翻訳原稿から訳文をコピー&ペーストしたものをDTP作業で使用する際、使用しているフォントがタイ語のフォントに対応していない場合、原稿では問題なく表記されていても、納品する際に表記の不具合が生じることがありますので注意が必要です。

最近のWordでは、単語の途中で改行するケースはほとんど発生しなくなっていますが、タイ語に不慣れな作業者がDTP作業を行う場合、改行位置を間違えることのないよう注意しなければなりません。

タイ語は日本語に比べて文字数が多いため、レイアウト作業に苦労することが多くなります。普通の文章では問題ないのですが、チラシや地図などの限られたスペースに文字を入れる場合は大変です。例えば、「大阪城公園」をタイ語表記すると「สวนสาธารณะปราสาทโอซาก้า」となります。文字数が多くて、限られたスペースに収めるのが困難です。また「通天閣」などの場合、日本人相手であればどんな施設なのか説明する必要はありませんが、タイ語に訳す際は「どんな施設か」を表記して日本語の読み方を当て字で付け加えるので、どうしても表記が長くなってしまいます。「通天閣」はタイ語で「หอคอยซูเท็นกากุ」となります。(「หอคอย(塔)」に「ซูเท็นกากุ(ツウテンカク)」を足しています)

日本語からタイ語の翻訳料金の相場

・通常の内容:11-18円/1文字
・専門的な内容:12円〜/1文字
・スピードコース:15-25円/1文字

日本とタイの商習慣の違い

タイ当局への提出書類や公式書類のほとんどは「仏暦表記」を使用します。(西暦2019年は仏暦2,562年となります)仏歴表記に加えて、数字もアラビア数字ではなく「タイ数字」を使用します。
「タイ数字」
๐  ๑  ๒  ๓  ๔  ๕  ๖  ๗  ๘  ๙
0  1  2  3  4  5  6  7  8  9

タイ人の仕事する上での価値観

タイ人の登録翻訳者の多くは、初めての案件を受注した際には「やる気満々」なのですが、翻訳の分量が増えてきたり案件が連続して発生したりすると、「やる気」を失って仕事を受けなくなってしまう人たちもいます。日本人から見るとタイ人は「頑張らない、無理しない」ように感じてしまうかもしれませんが、南国の気候や風土独特の感覚や考え方を持っているからなのでしょう。ですから、一緒にビジネスをするには彼らの特性を理解し、時には譲歩することも必要となります。例えば、今この仕事を片づければ後々楽になると分かっていることでも、今はもう頑張れないのでとりあえず休憩にするとか、今日は仕事を切り上げるといった考え方をすることです。大いに個人差があると思いますが、全般的に「前回の反省を活かす」ということも苦手な国民性ですので、「前に言ったから大丈夫だろう」と考え期待するのではなく、毎回「重要ポイント」を確認しておくことが必須です。

まとめ

ビジネスにおいても日本とタイの関係は深く、タイに進出する日系企業はとても多いです。今後のビジネスの発展のためにも、タイ語翻訳がますます必要となることでしょう。タイ語はとても複雑な言語で、現時点では機械翻訳に頼ることは最善とは言えませんので、正確なタイ語翻訳のためには、専門の翻訳会社に依頼して下さい。株式会社アットグローバルは喜んで皆さまのお手伝いをいたします。是非ご利用ください。

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