あなたもインバウンド・マーケッターに RESASの統計データを活用しよう!

2019年4月27日統計

インバウンドの企画立案には、マーケティング調査が必須です。内閣官房・内閣府が運営する総合サイト、「地域経済分析システム(RESAS:リーサス)」が注目されています。RESASとは「Regional economy society analyzing system」の略です。産業構造や人口動態、人の流れなどの官民のビッグデータを集約し、可視化するシステムです。利用は無料で、統計学の専門家でなくても研修すれば使える仕組みになっています。自治体のインバウンド担当の方々の間で、効果的な施策づくりのため、広く利用されているようです。

リーサスとは

リーサスは、地方創生の様々な取り組みを情報面から支援するために、経済産業省と内閣官房の「まち・ひと・しごと創生本部事務局」がデータなどを提供しています。 都道府県、市町村単位で、マップのように一目で分かるように構成されています。RESASのウェブサイトは こちら をご覧ください。

データは、「地域経済循環マップ」、「産業構造マップ」、「人口マップ」、「地方財政マップ」などに分かれています。その中の「観光マップ」の外国人に関する分析項目は、以下のとおりです。インバウンド担当者の方の参考になるでしょう。

・外国人訪問分析:外国人訪問客の数
・外国人滞在分析:昼間(10~18 時)と夜間(2~5 時)の外国人滞在者数
・外国人メッシュ:指定地域内の 1km メッシュ単位で区切られた各地点の外国人訪問客のうち、1 時間以上そのメッシュの範囲に滞在した人数
・外国人入出国空港分析:外国人訪問客が、入出国に利用した空港の分析
・外国人移動相関分析:外国人訪問客が、指定地域の直前または直後に滞在した地域の分析、外国人訪問客の周遊ルートが分かる
・外国人消費の比較(クレジットカード):取引の内容(消費額、取引件数、取引単価)をヒートマップ化、ターゲットとなる外国人訪問客の国、地域と消費動向を分析
・外国人消費の構造(免税取引):月別、部門別のクレジットカードの消費額、外国人訪問客がいつ、どの地域で、どのような消費をしているか、また他の地域と比較して自らの地域での消費にどのような違いがあるかを分析できる

成功事例:北海道ニセコ町

ニセコ町を含むニセコ観光圏は、国内有数の観光地です。ニセコ町はリーサスを使って、食の魅力を中心とした町内観光消費の促進を企画立案しました。ニセコといえば、高級ホテルが次々と建設されるなど、観光投資が活発に行われていますが、「町が本当に観光で稼げているのか」を検証することにしたのです(リーサスの活用事例、北海道ニセコ町)。https://www.meti.go.jp/press/2017/06/20170602005/20170602005-5.pdf

まず、① 地域経済循環マップの地域経済循環図を使って、地域の経済循環を調べました。② 地域経済循環マップの「生産分析」を使い、町内産業の移輸出入収支も調べました。③ 独自データで町民所得を調べました。④ 地方財政マップの「自治体財政状況の比較」を使って、ニセコ町の財政を分析しました。

その結果、課題が見えてきました。これらのデータで分析したところ、実は、観光が町の「稼ぎ」に十分につながっていない可能性が高いことが分かったのです。農林水産業が唯一、移輸出入収支のプラス項目でした。そこで、地元の農産物を活用し、食の魅力により町内の観光消費を増やすことを目標として設定したのです。

移輸出入収支額がプラスの場合は赤色で、マイナスの場合は青色で表示される。農林水産業のみプラスであることが分かる。

さらに、⑤ 産業構造マップの農業の構造・農産物販売金額データと独自分析により、ニセコ町の農業の強みは農産物の多様さであることが判明しました。⑥ 道の駅の検索数(観光マップ-目的地分析)のデータから、「道の駅ニセコビュープラザ」にある直売所が重要な役割を果たしていること、道の駅は町外からも多くの客が訪れていることから、道の駅を発信拠点にすることにしました。⑦ 北海道内の冬季における観光スポットの集客状況(観光マップ-目的地分析)のデータから、冬は、道の駅の集客は少なく、スキーや温泉が観光の中心となっていることが判明しました。このため、道の駅以外の方法の必要性も浮上しました。

道の駅「ニセコビュープラザ」に町外から多くの観光客が集まっていることが分かった。

加えて、⑧ 独自分析で、外国人宿泊者数を割り出し、「食」を届けるターゲットを隣接する倶知安町に宿泊する外国人観光客に定めました。また、⑨ 観光客の周遊状況(観光マップ-外国人メッシュ、まちづくりマップ-流動人口メッシュ)を調べると、スキー場周辺とニセコ町中心部をつなぐ公共交通が充実していないため、外国人観光客はエリア内の周遊がみられず、一定の場所にとどまる傾向が強いことが分かりました。さらに、⑩ 飲食店の立地動向(まちづくりマップ-事業所立地動向)のデータから、町の飲食店は広い範囲に点在しており、数も少なく、点在する飲食店と外国人を中心とした観光客をつなぐための施策が必要という認識となりました。そして、⑪ 独自分析で、人手不足が問題化していることも分かりました。

以上の総合的な分析から、 道の駅から冬季の「食」(料理)を観光客へ届けること、飲食店を増やし、食材と観光客を飲食店に集めること、公共交通を最適化して、観光客が町内を周遊しやすくすること、の3つの方針が決まりました。

おわりに

統計の分析は、コンサルタント会社などに頼むと、かなりの費用がかかってしまいますが、RESASには無料のeラーニングもあり、RESASの活用法の研修を行う自治体もあります。インバウンドデータの宝箱、RESASを活用した効果的な施策づくり、検証を行ってみてはいかがでしょうか。

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